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寄り道のススメ

「イタリアでエスプレッソを」

SIDEWAY – 寄り道のススメ ②

バイクで世界中を旅してきた三上勝久が、これまでの旅を振り返り、現地の食事やカルチャー、そして忘れ難き思い出を語る、SIDEWAY。2回目はイタリアのエスプレッソについて。コロナ禍で旅行すらままならない今こそ、遠き彼の国に想いを馳せて、脳内旅行をお楽しみください。

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寄り道のススメ

「イタリアでエスプレッソを」

 イタリアの高速道路。サービスエリアの多くにあるレストランが、オートグリルというチェーン店だ。座って料理をオーダーできるレストランの他に、デニッシュなどの軽食や飲み物、お土産を販売しているカフェテリアが併設されていることが多い。

 そして、見た目にも美しいデニッシュやパン、サンドウイッチ、生ハムなどが並ぶカウンターの向こうにデーンと鎮座ましましているのが、シルバーのクロームに輝く大きなエスプレッソマシンだ。

 もちろんミルクを温めるフォーマーも装備されているけれども、イタリアでは、ミルクの入った飲み物を飲むのは基本的に午前中だけ。なので、ほとんどの人はエスプレッソか、エスプレッソ・ドピオ(ダブル)を頼む。

 オーダーすると、フォーマーでデミタスカップを温めてから、1杯1杯エスプレッソを淹れてくれる。さすが美食の国、高速道路のサービスエリアのカフェでもとても美味しいエスプレッソが楽しめる。

 もう1つ印象的なのは、イタリアではこのエスプレッソにかなり大量の砂糖を入れるのが一般的なこと。ゴツいブラウンシュガーを、どばどばっと入れてゴリゴリかき回し、クイっと一口で飲んで出ていくトラックドライバーの姿は本当に格好良かった。

 では、家庭ではどうしているのか。もちろん、家庭用の電動エスプレッソマシンを置いている家も多くあるのだろうが、それよりもはるかに家庭に浸透しているのが直火で使うエスプレッソマシン、マキネッタだ。

 イタリア人に言わせると、日本の家庭における電気ポットなみに普及しているそうで、多くの家には古くから使っているマキネッタが台所に必ずあるそうだ。そして、基本的に使用後に洗うことはないそうだ。それだけ頻繁に使うのだろうが、使った後に必ず食器や調理器具を洗う日本とは大違い。

 イタリアのビアレッティというメーカーがマキネッタの世界最大手で、作れる杯数によってさまざまなサイズがあり、デザインも豊富にある。持ってるよ、という人も多いのではないだろうか。

 使い方は簡単で、ネジで組み合わせられている本体の下部(ボイラー)を取り外し、安全弁の下まで水を入れる。下部にはまる形になっているバスケットにコーヒー豆を入れボイラーに差し込む。水平を保ったまま、上部(サーバー)をねじ込めば準備OKだ。あとはコンロにかけて、お湯が沸き、沸騰した音が聞こえたら抽出完了。音が止まってから蓋を開けると、美味しいエスプレッソが出来上がっている、という寸法だ。

 せっかくマキネッタでエスプレッソを入れるのであれば豆もこだわりたいところ。日本で手に入りやすいイタリアンブランドのコーヒー豆と言えばイリー(ILLY)が著名だ。

 イリーのラインアップにはその名もエスプレッソという豆があるのだが、イタリアの多くのカフェや家庭で使われている品種は「モカ」。なるほど、ビアレッティのエスプレッソメーカーの商品名称は「モカエキスプレス」。イリーはこのモカエキスプレス用のモカも用意している。パッケージの下部にマキネッタの絵が描かれているので見ればすぐわかる。

 実際に飲み比べてみると、エスプレッソ豆のほうがやや酸味のあるさっぱりとした仕上がり。エスプレッソよりも粗めに挽かれたモカだと、いかにもエスプレッソらしい、濃厚でコクのある仕上がりになる。もちろん好みもあると思うが、僕はモカのほうが好きだ。

 コーヒードリッパーのフィルターペーパーのように、消耗品が不要なのもいいところ。豆とマキネッタ、コンロだけあればいいので持ち運びしやすく、キャンプやバーベキューなどのアウトドアでも活躍する。

 おっと、できれば、やはりイタリアで人気のコーヒーシュガー、シュガヴィッレの砂糖も手に入れておきたい。イタリア、モデナを本拠とするこのメーカーの砂糖はイタリアでもコーヒー用として大人気なのだ。

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