松本潤一郎
ニッポン、カヤック釣り紀行

「瀬戸内海・愛媛編」

SPECIAL THANKS TO YAI YAI TSUSHIN BY LODGE MONDE

ニッポン、カヤック釣り紀行【瀬戸内海・愛媛編】

ニッポン、カヤック釣り紀行【瀬戸内海・愛媛編】

松本潤一郎
ニッポン、カヤック釣り紀行

「瀬戸内海・愛媛編」

SPECIAL THANKS TO YAI YAI TSUSHIN BY LODGE MONDE

西伊豆を拠点にMTBツアーやカヤックフィッシングツアーを手がけるBASE TRESの松本潤一郎氏。彼が綴る「ヤイヤイ通信」というブログを、当ジャーナルでもご紹介させていただけることになりました。 松本氏の魅力溢れる生き方は、その文章にも存分に現れています。ニッポンをカヤックで釣りわたる紀行文や、西伊豆での暮らしの様子もお伝えしていく予定です。 (できるだけ定期連載予定!)

前回のニッポン、カヤック釣り紀行【太平洋・高知編】に続き、四国山脈を越えて瀬戸内海を目指す。

この折り重なる山々。さっきまで海の上にカヤックで浮かんでいたのにこの山深さよ。これぞ四国。

最近になって手に入れた旅クルマ。20年前のSG5型フォレスターのターボMT。以前、ジョージアのコーカサス山脈をバイクパッキングで走ったあとに首都トビリシでカジノで勝ち、潤沢になった旅資金を使ってレンタルした車がこいつだ。

こちらの旅の話もよかったら読んでみて欲しい。

山に海にダートにと快適に良く走り、狭い酷道が続く四国を走り周るのにはぴったり。

四国カルストを抜けて松山市まで降り、前日にGoogleマップの航空写真からカヤックを出せそうな海岸がある伊予北条の近くまでやってきた。手頃なキャンプ場か海岸でテントを張ろうかとも考えたが、思いのほか海に面して市街地が続いていて手頃な場所が無い。仕方がないので、いつもロッジモンドの集客に世話になっているBooking.comのアプリを開くと、1軒だけ空室がある手頃なホテルが出てきたので予約をクリック。宿泊利用者の予約導線もそうだし、部屋提供している宿泊施設の管理画面も日本のOTA(楽天トラベルとかじゃらん)からすると素晴らしく使いやすい、世界のBooking.com。特に楽天トラベルの宿側の管理画面なんてサイテー過ぎて、これが日本のIT企業とか言ってる時点で緩やかに滅んでいく国に生きているのだなぁと実感するんだ。

予約した宿からの眺めがとんでもなく良かった。瀬戸内海に沈む夕日をテラスから眺められる。その気になればこの部屋から釣りができそうなくらい、海に近い。

ベットに横たわりながら海が眺められる。

思いがけず素晴らしい宿を見つけてしまったのかと思ったが、ここ、ラブホテルだった。

フロントの隣に部屋を選ぶボタンがあったりちゃんとラブホ機能があるのだけれど、Booking.comでビジネスユース向けに部屋も売っているらしい。施設の造りはいわゆるモーテルだから、フロントの目の前に駐車場があって使い勝手もとても良いし、チェックイン後も自由に外出できると説明された。ラブホだから基本的に「戦闘用」として用意されたベットなのでビジネスホテルよりもかなり広い。なぜかわからないけれど生ビールもサービスで付いて来るし、食事も夕食も朝食も110円で付けられる。もしかすると日本でいちばん景色の良いラブホかもしれないので皆さんぜひとも行って欲しい。18歳未満は宿泊できないのでそこだけ注意ね。

朝5時に目が覚めて海へ。小さな漁港と砂浜がある北条公園の近くからカヤックを出す。海の上に漕ぎ出すと急にひんやりと冷たく感じる。水温をみると12.5℃しかない。伊豆の海は真冬でもこんなに低くならないし、昨日までいた太平洋側の高知も18.5℃あったので瀬戸内海って冷たいんだ。水温が低くても魚探にはベイトも含めてたくさんの反応が見える。

しかし、潮の流れが速い! 知識として知っていたけれどこんなにも流れるのか……。潮まわりは小潮だったのに岬の東から西の方向へ音を立てながら潮が流れていく。まるで川の中に浮かんで釣りをしているようだ。それでも岬の裏側に流れが淀む場所があって、地元の小さな漁船が何隻か浮かんで撒き餌釣りをしていた。

あまりにも潮が速いのでいったん砂浜に上陸して休憩。瀬戸内海、穏やかなイメージとは裏腹にかなり手強いじゃないか! 手漕ぎのフィッシングカヤックやシットオンカヤックじゃあっと言う間に流されるだろうな……。岬の裏側は潮が淀んで釣りやすいけれど、撒き餌釣りの船が多いからジグには反応が薄そう。コマセに沸いてる魚はジグに興味を示さない事が多いので、ホームの西伊豆にいても船から離れてやった方が良いと思ってる。そこで、東のまったく船がいない方から流れる潮にカヤックを乗せて、岬から延びる根周りの潮が当たる側を撃ってみることにする。潮の流れにカヤックを乗せ、根の周りに着いたらドライブを漕ぎ続けてホバリング。

うれしい、一発で食って来た。

潮に乗ってどんどん岬の方へ流れていくので、魚とやり取りしながら安全な場所までドライブを漕いで離脱。自分の中の勝手なイメージで、瀬戸内海といえばマダイだった。その顔が見れて良かった。本当はその土地の魚を食べてみたいのだけれど、一人旅だと消費できないのでカヤックの上にあげないで水の中でフックを外してリリース。たくさん釣ったり大きな魚を釣るのが目的の旅じゃないので、この1匹で満足して1時間ほどで陸に戻る。

船だと座礁が怖くて近寄れない、陸からだとわずかに届かない場所。そんな海の空白地帯を狙っていけるのもカヤックフィッシングの楽しみのひとつ。

しかし、伊豆を離れて知らない土地をカヤックで釣り歩くと、このフィンドライブのホビーカヤック・アウトバックに惚れ込んでいく。今回の場所も手漕ぎのカヤックだと成り立たなかっただろうな。ロッジモンドのカヤックフィッシングツアーはすべてホビーカヤックで揃えてるので、ツアーに参加してもらえれば伊豆のフィールドで実際に乗って体感できます。

さて、次の目的地は徳島。今回の旅も終わりに近づいてきている。

松本潤一郎(まつもと・じゅんいちろう) 株式会社BASE TRES代表。1982年、横浜市磯子区出身。17歳にてヒマラヤ・アンナプルナサーキットのトレッキングを端緒に、世界各国を旅する。24歳で南米23000㎞をオフロードバイクでまわったのち、西伊豆・松崎町に移住。山中に眠っていた古道と出会ったことで「西伊豆古道再生プロジェクト」を立ち上げる。その後、再生した古道をマウンテンバイクで走れる「YAMABUSHI TRAIL TOUR」、宿泊施設「LODGE MONDO -聞土-」など、西伊豆の観光を盛り上げる事業を次々と展開。最近はホビーカヤックを使ったカヤックフィッシングツアーを開始。自身がカヤックで日本の海辺水辺を釣りまわる「ニッポン・カヤック釣り紀行」も発表中。 松本氏の半生についてお話を聞いた、THE INTERVIEWも合わせてご覧ください。