松本潤一郎
ニッポン、カヤック釣り紀行

「吉野川・徳島編」

SPECIAL THANKS TO YAI YAI TSUSHIN BY LODGE MONDE

ニッポン、カヤック釣り紀行 【吉野川・徳島編】

ニッポン、カヤック釣り紀行 【吉野川・徳島編】

松本潤一郎
ニッポン、カヤック釣り紀行

「吉野川・徳島編」

SPECIAL THANKS TO YAI YAI TSUSHIN BY LODGE MONDE

西伊豆を拠点にMTBツアーやカヤックフィッシングツアーを手がけるBASE TRESの松本潤一郎氏。彼が綴る「ヤイヤイ通信」というブログを、当ジャーナルでもご紹介させていただけることになりました。 松本氏の魅力溢れる生き方は、その文章にも存分に現れています。ニッポンをカヤックで釣りわたる紀行文や、西伊豆での暮らしの様子もお伝えしていく予定です。 (できるだけ定期連載予定!)

瀬戸内海を楽しませてもらった愛媛を後にして、東へ。徳島県へ向けて車を走らせる。

伊豆を離れて数日経ち、外食続きになると野菜不足になってくる。そういう時は日本のどこにでもある便利なファミレスに駆け込み、2、3人前のサラダをむしゃむしゃと食べるとホッとする。なるべくその土地のローカル食堂や居酒屋に行きたいけれど、たまのファミレスで生野菜を食べるのが長旅を気持ちよく続ける時の秘訣かも。

徳島市内の少し手前で高速を降り、吉野川を見に行ってみた。この時までは徳島側からカヤックで海に出て、紀伊水道を釣ろうかなと考えていたけれど、滔々と流れる吉野川を見たらこの川でやりたくなった。吉野川みたいな大きく開けた河川は静岡には無いし、太平洋・瀬戸内海と続いて最後が川というのもおもしろい。特別に増水もしていないし、カヤックを出せそうな場所を探しながら吉野川に沿って徳島市内まで進む。

徳島では、いつも映像を作成してもらっているフィルマーの川口さんの家に一晩泊めさせてもらった。「カヤックフィッシング」「e-MTB」「森の焚き火とハイクツアー」「ロッジモンド総集編」、この4本のムービーを撮影してもらったので、その打ち合わせも兼ねての徳島訪問。自然に寄り添った抑揚のある美しい映像を撮る人です。アクティビティのムービーなんかだとドローンを飛ばして「バーン!」みたいなのが溢れているけれど、そう言うの自分は好きじゃない。絶大な信頼を置いているフィルマーさんなので、気になる方はどんどん仕事の依頼しちゃってください!

夜は徳島市内にある居酒屋で瀬戸内海のマダイの刺身をいただいた。スダチが添えてあるところがとっても徳島感。正直、あんまりマダイが美味しい魚とは思ってないのだけれど、(臭みがあったりして個体差が激しい、伊豆で釣れてもそんなにうれしくない 笑) 瀬戸内のマダイはちょっと別格に甘味があって旨い! こんなに旨いのを知っていたのなら、昨日釣りあげてリリースしたマダイも締めてからクール便で家に送っても良かったなぁ。こういう日本各地の海の幸事情を知って体験するのも、カヤック釣り紀行の楽しみのひとつ。

翌日、お世話になった川口さんにお礼を言って吉野川へ。車を走らせて5分で到着。近い! 市内を真っ二つに切り裂くように海に流れ出る吉野川は河口近くになると幅1kmほどになる。街のど真ん中にこれだけ広い空が見える空間がある土地、開放感があっていいな。

今回は吉野川橋の橋脚に付いているだろうスズキをカヤックから狙ってみる。調べてみるとボートでこの橋の周りを狙う人たちもいるようだけれど、こっちはエンジンが付いていない無音で近づけるカヤックだ。もしかすると吉野のスズキが根こそぎ釣れてしまうかもしれないじゃないか。

吉野川の河口にも近く、川幅も1kmあるので流れは先日の瀬戸内海よりも緩やか。ホビーカヤックのドライブを使えば難もなく川を遡上していける。橋脚という魚が付く1級ポイントをピンポイントで攻めれるなんて陸からルアーを投げていた頃から考えると贅沢が過ぎるね。

ちょうど朝の通勤時間帯で、橋の上には車はもちろん、歩きや自転車で行き交う人も多く見られた。そんな見知らぬ人たちの日常生活の「真下」を、カヤックに乗ってロッドを振るという非日常感と、なんだかちょっとだけある背徳感(通勤・通学の真下で遊びまくるから)が楽しい。

少しだけ上流へ漕ぎ上げ、流れにドリフトさせながらゆっくりと橋脚に近づき、第1投。流れが撚れている場所をルアーが通るとすぐにヒット。が、外された。また同じ場所にルアーを投げ入れるとまた反応があった、が乗らない。セイゴクラスがたくさん群れている? 橋げた周りを撃つので壊れないエコギアの6インチ・シングルフックだからかからないのかも。

吉野川だからもっと大きな個体がいるだろうと思い、次々と移動して橋脚の際へ投げ入れていくけれど今度はまったく反応がなくなってしまった。大きな川だけれど流心はしっかりとあって、ベイトもその周りに付いている感じがした。流心から離れた淀みの中にはあまり生命反応もない。

吉野川橋がだめだったのでひとつ下流の吉野川大橋まで移動。潮が上がってきたせいか流れがもっと緩くなった。流れに逆らいながらドライブを漕いでホバリング。橋脚の周りのポイントに留まり続ける。瀬戸内海に続き、ここでもホビーカヤックの特性を発揮。釣りという遊びに使う道具として本当によくできている。サイコー。

クロダイって東と西とでは違うの? 顔のつくりが東京湾や伊豆で見るのと違う気がした。 これは吉野川の個体です。

正午近くまでやってみたけれど遊んでくれてのは彼だけでした。東日本にいるクロダイと何か違って見えるのだけれど、種類は別なんだろうか。東京湾や伊豆のクロダイよりも口が尖っている印象。徳島の吉野川では自然と人の暮らしが混じったアーバンカヤックフィッシングができた。伊豆だと街と構造物がある場所で釣りができる場所ないからね。

カヤックを車に積み込み、吉野川から近い「支那そば 三八」で四国の旅を締める。

ニッポン、カヤック釣り紀行。【太平洋・高知編】【瀬戸内海・愛媛編】【吉野川・徳島編】とシリーズ化してしまったので、このまま日本各地へ時間を見つけて出掛けていこう。今回の四国では香川が抜けてしまったけれどまた次回。香川はね、うどんを餌にカヤックから釣りをしたい。

松本潤一郎(まつもと・じゅんいちろう) 株式会社BASE TRES代表。1982年、横浜市磯子区出身。17歳にてヒマラヤ・アンナプルナサーキットのトレッキングを端緒に、世界各国を旅する。24歳で南米23000㎞をオフロードバイクでまわったのち、西伊豆・松崎町に移住。山中に眠っていた古道と出会ったことで「西伊豆古道再生プロジェクト」を立ち上げる。その後、再生した古道をマウンテンバイクで走れる「YAMABUSHI TRAIL TOUR」、宿泊施設「LODGE MONDO -聞土-」など、西伊豆の観光を盛り上げる事業を次々と展開。最近はホビーカヤックを使ったカヤックフィッシングツアーを開始。自身がカヤックで日本の海辺水辺を釣りまわる「ニッポン・カヤック釣り紀行」も発表中。 松本氏の半生についてお話を聞いた、THE INTERVIEWも合わせてご覧ください。

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